俺ガイル5巻の感想です。雪ノ下さんは登場しませんでしたが、周りのメンバーが雪ノ下に対して抱く印象がそれぞれ違っているのが今回のポイントなのでしょう。
そのために様々なキャラと夏休みに出かけるというリア充イベント満載の巻でした。特に戸塚とのデートは最高でした。ホラーにビビる戸塚、手を重ね合わせて恥ずかしがる戸塚、4巻に続いて5巻もかなり戸塚推しの話でした。
あとは由比ヶ浜とのお礼という名目のデートもなかなかでした。
俺ガイル5巻の内容
八幡は夏休みを戸塚や平塚先生と楽しく出掛け、満喫していた。由比ヶ浜からサブレの面倒を見てくれたお礼として花火に行こうと誘われる。花火大会で雪ノ下陽乃に出会う。そこで事故の車は雪ノ下家のハイヤーだったと言われる。
俺ガイル5巻の感想
立場・見方で人の印象は変わる
自分が見ている相手のイメージがすべてだと思い込んでしまっていた私です。主観で生きているのでそう思うのもしょうがないですよね。でも、自分が見ている相手のイメージと他の人が見ているイメージが同じなわけありません。そんなことに気づかされた5巻でした。
雪ノ下さんが最後の数ページしか登場しないお話でした。代わりに会話の中で雪ノ下さんが登場していました。小町、戸塚、川崎、平塚先生とそれぞれが雪ノ下に抱くイメージが語られました。
戸塚とホラー映画を見ていたときに、同じものを見ていたのにも関わらず3人(材木座を含む)の感想は違っていました。それと同じで人というのも印象は人によって変わるものだと八幡は言っています。
きっと俺は、憧れていたのだ。218p
そして八幡は自分が持っていない完璧の超人性を持つ雪ノ下に憧れを抱いていた。のはずが、嘘をつく雪ノ下に失望した。
「君は存外潔癖だな」108p
雪ノ下雪乃ですら嘘をつく。そんなことは当たり前なのに、そのことを許容できない自分が、俺は嫌いだ。224p
そして八幡は潔癖であるがゆえに、そんな自分をも許せなかった。昔のトラウマから人に勝手に期待して勝手に理想を押し付けるのを嫌っていたのに、自分が雪ノ下にしていたことを気づいて自分が嫌いになる瞬間です。高2病ですね。
潔癖というのは自分の中にある原理・道理から外れるものを毛嫌いすることでしょう。八幡の中にある信念というのは、上っ面だけの関係が嫌い。そうして演じている人は欺瞞でしかない。
雪ノ下が嘘をついていたことが信じられない。雪ノ下に失望し、勝手に雪ノ下にイメージを押し付けていた自分も嫌い。八幡の理想の高さゆえの悩みなのでしょう。
由比ヶ浜との関係
さすがにこんだけお膳立てされて何もわからないほど鈍感じゃない。168p
「俺にそういうの期待すんな」208p
八幡は由比ヶ浜から好意を抱かれているのに気づいています。
そしてそのうえで由比ヶ浜を突き放しています。どうして、好意を素直に受け入れることができないのか?
由比ヶ浜が自分に好意を向けているのは偶然の行動でしかない(たまたま犬を助けたこと)。それが自分の人格を肯定するものにはならないと言っています。
結局は親しい関係になるのが怖いと思います。特に恋愛に関して言えば。
宝釣りの屋台を目にして、都合のいいものには必ず裏がある。と言う八幡。きっと今の由比ヶ浜が隣にいるということに見立てて言っているのでしょう。そう思う表現でした。
陽乃さん
「……雪乃ちゃんは、また選ばれないんだね」190p
何に選ばれないのかは明確にされていません。
考えられるのは家のことと恋愛としての二通りです。一度目が家がらみのことで、二度目にあたるのが恋愛のことになります。
雪ノ下家は県議会議員を務め、建設業を営んでいます。現在のところ跡継ぎは長女である陽乃と母の中で決まっています。一方の雪ノ下はある意味自由にさせられています。雪ノ下は自由だけど選ばれなかった。そう解釈できます。
恋愛はそのままの意味でしょう。由比ヶ浜を八幡が選んだということです。
その他
……まあ、あの部室での邂逅が最初であれば、だが。58p
理解していると、理解してもらっていると、不明瞭なお互いの認識をもって自らという存在、あるいは相手という存在をつどつど定義し直し、喧伝して生きていかないといけない。86p
俺はいくら笑われてもいいんだけど、一緒にいて由比ヶ浜が笑われるのは可哀そうだ。175p
そうした種々の努力によって勝ち得た愛情は、本当に自分に、本当の自分に向けられた愛情だと呼べるのだろうか。179p
5巻もかなり重要な話でした。
八幡が期待する雪ノ下に裏切られる。八幡は厄介なやつですね。
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