今回紹介するラノベは
青春失格男と、ビタースイートキャット。 (富士見ファンタジア文庫)
です。2018年5月19日に発売された比較的最近の本。第30回ファンタジア大賞“審査員特別賞”受賞作です。
なんとなくあらすじに惹かれて買ったラノベでしたが、、、、
これはヤバい(語彙力少なすぎ)
おれは、西條理々に本性を暴かれた。誰もが羨む高校生活なんてのは、見栄や建前でつくられた幻想だ。友人から、家族から、世間からすら孤立しよう。そうやって、おれと西條さんの“共犯関係”は始まったんだ。
あらすじというか商品説明でした。この2文を読んで私は迷うことなくぽちっと購入しちゃいました。ちょうどセールでkindle版が半額だったのもあって臆することなく買いました。
この2文からここまでのえげつないラノベとは想像できただろうか?いやできなかっただろう。
商品説明を読んだ感じ、
かわいいヒロインと秘密の関係を作ってイチャイチャするんだろうな~~
と思っていた自分がいました。
そんな僕は開始1ページ目ですごい勘違いをしていたのに気づきました。
これはただの王道学園系ではない!!例えるなら邪道ラブコメだ!!
それからは胸を躍らせながら読み進めました。今までで1番のめり込んだ、いや全身を舐め回すようにじっくり読んだか?。それくらいすばらしいラノベでした。
こんな感じで感想を綴っていくのでついていける人だけ読んでください。
あらすじ
ざっとあらすじを紹介します。
主人公の野田進が、猫を助けようとし木から落ちた宮村花恋を助ける。花恋からラブレターを受け、返事をしようとしたときクラスメイトの天才少女西條理々と出会う。 人間関係をなくし世界で2人きりになる学園追放計画をたてる。
計画を建てたものうまくいかない。保健室で何やかんやあった後、2人で駆け落ちではなくめんどくさい人間関係のない生活を送る。
数日後、西條が怪我をし病院に運ばれる。ここで西條のママが出現おそらくラスボスになりうるであろう人物。2人だけでは生きていけないことを知った2人は宮村を生贄に捧げ更なる関係性へと続く。
感想
一部の人に受けるラノベ
まずはじめにSAOや俺ガイルのように万人受けするラノベではないです。
働きアリの8:2のように2割の人にはとても夢中になれるラノベです。中学生・高校生の誰しもが一度は考えたことがあるような心情をテーマにした話です。私は中学も高校もザ・真面目君だったのでこんないけない関係に実は望んでいたかもしれません。
どんな人向けなのか?
最近のよくあるラノベに飽きた。新鮮さを求めている人にオススメしたいです。
最近のラノベは異世界もの青春ラブコメ系が多いですね。私が最近読んでいる妹さえいればいいや弱キャラ友崎君もよくあるようなジャンルです。後は転生したらスライムだった件やリゼロといったなろう発の異世界系ラノベも多いです。
別に異世界系やラブコメ系がつまらないと思っているわけではないです。どの作品にも原作者の個性というか自己満足なところがあるので、面白く読ませていただいています。唯一無二の作品です。
青春失格男とビタースイートキャットはジャンプで言うところの邪道漫画に相当します。王道バトル漫画ではなくえぐい心理戦といった感じです。
作者のprprへのこだわりが強い
作者の欲望の主張が強い。prprへのこだわりがこれでもかというくらい伝わってきました。青春失格男と ビタースイートキャットを読むまではprprなんて単語あまり聞いたことも無いですし、興味もありませんでした。
商品説明にもprprなんて書いてなかったので最初のページを読んだ私は
こいつら何してんの?
とあきれてました。しかし、作者の表現の仕方がすばらしい。
女子の体を舐めると聞くとエッチ系かと思うが、あまりに潔くなおかつ高尚な文章、表現により神秘的な行為となっている。
1巻を読み終えて
これほどまでにprprはすばらしいものか
と心を入れ替えました。途中までは比企ヶ谷くんのように他人とはある程度距離を置く主人公のお話かと思っていただけにprpr冒頭にいきなり出てきたときは戸惑いました。
けれどあれほどまでリアルに詳しく書く原作者に脱帽しました。私もprprに興味を持ってしまったのは言いたくないですw
これはただのエロいラノベではないです。芸術である。それほどの作品だと感じました。
会話よりも地の文が多いです。私はラノベを読む際は会話文に時間をかけて読むタイプです。地の文はどんな場面かくらいイメージするためで流し読み程度です。それほど深く書いていないのですっ飛ばします。
だが青春失格男と ビタースイートキャットは違う。読まざるを得ない。我慢することができない。
自然と次の文字、文を渇望している。何度も読み返したくなる。
原作者の長友一馬先生はゲームシナリオを書く人です。これほどの文章を書けるのも納得です。
1巻だけで密がすごいです。他のラノベだとこれだけの話を3巻くらいかけてゆっくりとストーリー展開させるでしょう。ラノベであまり話しが進まなかったというのが感じられなかったです。
ストーリーの進みが早いと聞くとキャラの心情が薄っぺらいと思うかもしれない。そんなことは全くない。
1巻においての主要人物は三人います。この3人の気持ちが丁寧に描かれていました。中学生高校生ならではの悩み、周りに興味がもてない、西條の方は天才ならではの悩みを抱いている。
しかし、大切な人との関係を切りたくないという気持ちが葛藤している。二人とも大切な人を思いやる気持ちの持ち主。進は他人に興味がないからあそこまで自然と紳士的な行動がとれるのでしょうか。シンくんはかなりの高スペック男子のイメージです。
まあそうでないと西條のパートナーは務まりませんね。
姉と山口は今後の展開のキーとなってきそう。特に山口の方は勘が良さそうので台風の目になりそうと勝手に想像しています。
自分と西條さんのために好きでもないのに宮村さんを利用しだす主人公。他のラノベだと少女の気持ちをもてあそぶな、誠氏ねと誹謗中傷にあいそうですが、何故か期待している自分がいます。
進が恋らしき?気持ちに気づいてしまった描写があるので今後の展開がとても気になります。西條さんとの関係はどうなってしまうのか?楽しみです。
というか2巻出ますよね?
2巻が出たら速攻で買います。感想を書きます。
ひとつ残念なことがあるとしたら、私がこれをkindleで買ってしまったことです。これは是が非でも自分の手元に置いておきたい。西條さんを眺めていたい。
そのうち書籍版も買います。