最近なろうばかりで恋愛ものが読みたいなと思ったときにちょうど出会ったのがこの本。
『三角の距離は限りないゼロ』です。
ちょっと変わった恋愛ものです。さっそく2巻も購入してきました。
三角の距離は限りないゼロ1巻の内容
他人と接するときにいつもキャラを演じてしまう主人公と二重人格の女の子との恋物語です。
主人公(矢野四季)が通う学校に転校してきた女の子。彼女の名前は水瀬秋玻。矢野は秋玻に一目惚れした。しかし彼女の中にはもう一人の少女、水瀬春珂がいた。
彼女が二重人格であると知った矢野は二重人格であるとばれないように協力してあげることに。
三人で交換日記をしたり、彼女の家にお邪魔しに行ったり、他の友達とお出かけしたりと上手く関係が進んでいった。
しかし、春珂が出てくる時間がだんだんと減ってきた。秋玻に聞くともうすぐ春珂が消えるとのこと。矢野を困らせないようにと春珂は友達を辞めようと言ってきた。さらに追い打ちをかけるように水瀬が転校するとのこと。
秋玻とも春珂とも話さなくなった。ある日、決心をもって秋玻を部室に誘った。そしてそこで、秋玻の本当の気持ちを聞いた。
春珂だけ相談できて自分も矢野君を頼りたかった、春珂がいなければ矢野君の隣にいたのは自分だったと。
そして秋玻に告白した。
秋玻も助けることを約束した。春珂がありのままで生きれるように矢野は今までの偽りの自分。キャラを演じてきたことを友人に告白した。
春珂も一人の自分として勇気をだして紹介することができた。
感想
切ないようなちょっぴり明るい恋物語
タイトル通りの三角関係です。二重人格の女の子が二人とも主人公に恋心を抱いています。春珂は完璧に恋しています。秋玻はまだ告白の返答をしていませんが、おそらくOKするのではないでしょうか?OKしなくとも、あきらかに好意を抱いています。
ただの三角関係ならどっちかと結ばれ、片方は辛い思いをします。しかし、二重人格だとどうでしょう。
物語的に春珂はいつか消えてしまうでしょう。この段階で読んでいる私はつらいです。でも、そんなこと気にせずに明るく少し抜けている彼女を見ていると楽しい気分になります。
どっちかと付き合いだしたら、付き合っていない方はかなり辛いでしょう。自分の目の届かないところでイチャイチャされるなら知らないで済むかもしれません。しかし、体は共有しているので入れ替わったときに気まずそうです。
二人と付き合っても二股にはなりませんよね。体は一つなので。
どう結末を迎えるのか楽しみでもあり少し憂鬱です。
冒頭の手紙について
おそらく矢野が書いたと思われる手紙が最初のページにありました。あて名は××となっていたのでどちらに対して書かれたか分かりません。
これ読むとつらくなります。
矢野のキャラについて
水瀬春珂と秋玻の二重人格に目がいきますが、主人公の矢野君のキャラも物語に沿っています。
矢野君もある意味での多重人格の持主です。相手に応じて演じるキャラを切り替える偽りの自分を持っています。中学の出来事があっていくつものキャラを演じているが、一人の自分としてありたいと思う矢野君。そして最後に一人の自分としていようとした春珂。
この関係が良くできています。ただ、女の子だけが成長するのではなくて主人公とヒロインが成長していくお話です。
秋玻の名前について
秋玻が本名だと思っていましたが、違いました。秋玻と春珂はそれぞれにつけられた偽名でもあり本名です。
ただ、もともとの本名は明かされていません。秋玻は矢野と一度会ったような気がします。転校初日にいきなり矢野君に話しかけています。秋玻の性格的にありえなくもないですが、初対面にしては可能性が低いです。
仮に会っていたとしても覚えていないのはどうなのか?というところもあります。
秋玻の「玻」は常用漢字ではありません。調べたところ、玻という文字は名前に使えません。名前には用漢字と人名用漢字のみ使えるそうです。
この「玻」という字が使われているのはたまたまなのかそれとも故意的かどうかは作者しか分かりませんが、なかなかおもしろいと思います。名前として使われない「玻」が使われているから仮名と一応推測たてることもできますね。
1巻だけで非常におもしろいお話です。少しシリアスでもあり、恋愛要素も含めた楽しめる作品です。なにより絵がきれいです。観覧車のシーンはさいこうでした。
最後のシーンは春珂でしょう。あんなおちゃめなことを秋玻はしません。
2巻の感想→『三角の距離は限りないゼロ』2巻 感想!