ようこそ実力至上主義の教室へ8巻読了
8巻は全学年合同での混合合宿が特別試験でした。ただし男子と女子は別でしたが……綾小路視点で書かれているので女子が少ししか登場しなくて残念でした。
8巻は堀北兄と南雲雅の対決がメインの話でした。今回の綾小路はただの傍観者。ほぼ何もせず情報を集める程度。それだけにずっと盛り上がりがない話で楽しくなかった。
amazonの評価も8巻は3.8で、他の巻は4.5前後あるので客観的にもあまり……という話でした。
よう実7巻の感想>>>【よう実7巻】感想・ネタバレあり 龍園との直接対決!!
よう実8巻のあらすじ
3学期開始と共に、高度育成高等学校の全生徒は山奥の校舎へと案内される。実施される特別試験の名称は『混合合宿』。男女別に1学年を6つのグループに分割。さらに2年、3年もグループに合流するという。最終的に所属する全生徒の平均点が高かった上位3つのグループにボーナスポイントが与えられる一方、最下位のグループ責任者は退学となるという。退学処分有りの特別試験に慄く一同。そしてグループの分け方は生徒に一任。敵同士だったはずのクラスと手を組むという感情的なもつれが波乱を生む! さらに新生徒会長の南雲、そしてあの高円寺にも動きがあるようで――!?
感想・ネタバレあり
混合合宿
3学期を迎えDクラスからCクラスに昇格したので小説の中でDクラスがCクラスと書かれるようになりました。これまで綾小路たちのクラス=Dクラスというイメージが強いだけに理解が大変でした。
8巻での特別試験は混合合宿。ちょっとルールがややこしかった。
各学年、男子と女子に分かれて男女それぞれ6つの小グループを作ります。小グループは2つ以上のクラスの生徒がいることが条件。そして各学年の小グループ3つで大グループを作ります。
6つの大グループができます。男女合わせて12の大グループができます。
今回はその大グループで戦います。つまり、1年から3年まで学年関係ない生徒とチームとなって戦わなければなりません。
7泊8日の中で授業を行い、最終日にテストをします。そのテストの点で順位を決めます。上位のグループの生徒にはプライベートポイントとクラスポイントが与えられ、下位のグループは逆にマイナスされます。試験の内容は「禅」「筆記試験」「駅伝」「スピーチ」でした。
そして最下位の大グループにはペナルティもあります。ただ、必ずしもペナルティがあるわけではない。最下位になった小グループの平均点が学校側が決めたボーダー以下なら責任者が退学となる。最下位になっても点が悪くなければ退学にはならないということ。
そして責任者が退学するとき連帯責任として道連れすることも可能。責任者が退学するとき同じ小グループの一人も退学にすることができる。ただし、その生徒がグループの点を下げた「一因(一員)」として学校が認めることが条件。
責任者
今回の特別試験においてカギとなるのが責任者。責任者になれば退学する可能性が上がる。一緒に道連れにするグループのメンバーが決めれる。
ただ、普通に試験をこなせば道連れにはされない。故意的に道連れにしようとしても自分も退学しなければならない。
故意的に責任者になって誰かを退学させようとは普通ならば誰も思わない。しかし、南雲雅は密かに考えていた。
南雲はどちらかと言うと龍園寄りの考えをしています。一方の堀北兄は正々堂々、真面目というイメージでした。
南雲雅VS堀北兄
南雲雅と堀北兄は今回の特別試験である対決をしました。
それぞれの大グループの平均点が高い方が勝ちというプライドを賭けた戦い。ただ、どっちともプライドすらも賭けていないようでした。
堀北兄はそもそも戦う意志すらなかった。だからある条件を提案しました。第三者を巻き込まないというもの。堀北兄のグループメンバーを買収などしてはいけないということ。それに南雲は了承しました。
狙われたのは橘書記
南雲は端からこの勝負に勝とうとは思っていませんでした。
狙いは別にありました。
狙いは3年の橘元書記でした。表紙に堀北兄と橘書記が描かれていたのはそういうことでした。
道筋はこうです。
女子の小グループ決めのとき南雲の息のかかった生徒と橘書記を同じグループにする。橘書記は責任者にはしない。堀北兄は責任者にならなければ退学はないと考えそうするよう指示していた。
これについては朝比奈なずなが言っています。
2年の女子から少しだけ大グループを決める時の要望が出たというか、調整が入ったのよね。245p
この2年のグループは南雲雅に頼りにされているメンバーが固まっています。橘書記と同じになるように要望をしています。
責任者にならなければ退学はほぼないのはそうです。迷惑をかけないようにちゃんと試験の点をとれば道連れにされません。
高円寺の推測
ただここに穴があります。それを高円寺は気づいていたのでしょう。
オレはこの高円寺の会話に1つ矛盾点を見つけた89p
責任者決めのときに高円寺が言っていセリフに矛盾点がありました。
- 自分(高円寺)が責任者になった結果、平均点を下回ることになれば誰かが道連れになってしまうぞ。
- 君たちが奮闘すれば平均点がボーダーを下回ることはまずない
自分が責任者になっても他の奴らが頑張ればボーダーは下回らないと言いながら、平均点を下回ったら誰かが道連れになるがそれでもいいのか?と言っています。
つまり奮闘しない生徒がいると平均点がボーダーを下回る→誰かが道連れになるのだということを意味しているのではないでしょうか?
橘書記の退学
現にそれと同じことを南雲は考えていました。
南雲がわざと平均点を下げるように指示した生徒のグループに橘書記が入る。平均点がボーダーを下回る。
これだけでは責任者が退学になるだけで、橘書記には何ら関係がありません。でも、ボーダーを下回ったのが点だけの影響ではないとしたら?グループメンバー全員が橘書記が邪魔をしてきたと申告すれば一因に考えられるでしょう。そして退学させることも可能。
退学の取り消し
南雲雅は堀北兄と親しい橘書記を退学にさせたかったわけでもない。3年のAクラスは必ず退学者を救いだすと知っていた。
実際に救済をした。
試験のバスの中で茶柱先生が退学者の救済方法について話していたのもこの伏線だったはず。退学者を救済するには2000万プライベートポイントと300クラスポイント必要。2000万は個人なら不可能、でもクラス全員ならば可能性はある。
ただ退学者の取り消しをしたら、AクラスはBクラスに抜かれてしまう。
これが本当の狙いだった。
ただ、Bクラスの責任者も退学しなければならない。Bクラスの生徒が南雲雅の作戦に同意するはずがない。
南雲はBクラスに2000万プライベートポイントと300クラスポイントを支払っていたはず。ならば責任者は退学の取り消しができる。BクラスはAクラスにクラスポイントで差を縮めるという大きなメリットがある。
そしてCクラスやDクラスにとっても上のAクラスとBクラスがクラスポイントを支払ってくれれば差が縮まるというメリットがある。
よく考えた作戦だった。
男女別々だった理由
今回の特別試験は男女別々だった。
堀北兄が橘書記を助けれないようにするために話上、作者がそうしたかもしれないがここも南雲雅が関わっていると思っている。
生徒会は特別試験を決める権限もある。もちろん全部は無理のはず。堀北兄が綾小路の無人島での活躍を知り目にかけたのは生徒会の権限。
南雲も橘書記だけを狙い撃ちにするために男女別々という案を提案したのではないかと推測できる。
一読者からしたら
「南雲め、お前のせいでかわいい女子を見る機会が減ったじゃないか!!」
という不満一杯ですけど。
しかも途中の男子でのあそこの比べあいの話なんて誰得だよ笑
あれはいらなかったのでは。もし意味を見出すなら高円寺が綾小路をただものではないと認識し始める演出のひとつだったかもしれません。そのきっかけがあれのサイズとは綾小路も苦笑いですね。
高円寺の行動・考え
これまで我が道を堂々と進んでいた高円寺。
彼は高円寺コンツェルンの御曹司。仮にこの学園を退学しても将来に困ることはない。
ではなぜこの学園に入学したのかが気になりますね。
高円寺はAクラスに興味がない、退学しなければいいというスタンスでした。
Aクラスで卒業するつもり
しかし、南雲の推理によってただ単にAクラスに興味がないのではなく
Aクラスになる方法をもう見つけているから、興味がないと判明します。
高円寺は3年生が卒業する際のプライベートポイントを買い占めることで2000万ポイントを集めようと考えていました。卒業する際プライベートポイントは現金に換金されます。社長の息子でお金には困っていません。高円寺だからこそできること。他の生徒には不可能なことでしょう。Aクラスになる方法はまだ複数考えているっぽいです。
個人でAクラスになれる方法をもう考えているから我が道を進んでいるのでしょう。
逆に考えれば高円寺はAクラスになりたい、もしくはならないといけない理由があります。それが何なのかは分かりません。親がAクラスで卒業しないと跡を継がせないとかそんな単純な理由なわけではないと思います。
堀北や幸村がクラスという集団でAクラスになるとは反対で高円寺は個人でAクラスになろうと考えています。Aクラスの橋本も高円寺側の考えです。
綾小路をただものではないと認識
8巻で綾小路をただものではないと高円寺は思い始めます。
腕を握ったときの直感、駅伝で1.2㎞走らせてくれないか?と相談したときの返答など、ネタかもしれませんがあれのサイズでも。
これまでも綾小路を普通の生徒ではないと薄々気づいていた高円寺が確実にただものではないと認識したはず。
だからといってこれから現Cクラスのために働くかどうかは分かりません。
女子側の物足りなさ
主人公が綾小路だから仕方がないですが、女子側の試験の描写が少なく物足りなかったです。
坂柳が一ノ瀬に仕掛けると言っていたが何をしているのか一切分からなかった。一ノ瀬が女子の人間関係で悩んでいるくらいの描写しかなかった。
あとは堀北と櫛田の関係も全く進展はなかった。
軽井沢の正妻っぷり
もともと堀北がメインヒロインではなかった。綾小路の隣人ということで登場が多かっただけで、一クラスメイトで隠れ蓑。
7巻から軽井沢のメインヒロインっぷりが滲み出ています。8巻でも軽井沢が綾小路のサポート役を完璧にこなしています。付き合った方が逆に怪しまれないのでと思ってしまいます。
正直、ここまで出番が増えてくるとは思ってもいませんでした。これからの関係に注目ですね。
マクガフィン
軽井沢との会話で綾小路が言っていたマクガフィン。
「どうだろうな。これは物語的に言えば、マクガフィンみたいなものかも知れない」171p
教養のない私はマクガフィンという言葉を知りませんでした。
調べてみてもぴんとこない説明ばかり。
マクガフィン (MacGuffin, McGuffin) とは、何かしらの物語を構成する上で、登場人物への動機付けや話を進めるために用いられる、仕掛けのひとつである。登場人物たちの視点あるいは読者・観客などからは重要なものだが、作品の構造から言えば他のものに置き換えが可能な物であり、泥棒が狙う宝石や、スパイが狙う重要書類など、そのジャンルでは陳腐なものである。(wikiより)
wiki読んでも???イマイチピンとこない。
一言で言えば特に意味はないということでしょう。
今回の場合、試験の内容or橘書記を狙ったことに特に意味はなかったと綾小路は言っています。
綾小路に佐藤が惚れたのもマグカフィンなのでしょう。綾小路に惚れるのは誰でも良かった。他の女子生徒でも何ら問題はなかったということ?でええのかな?
まとめ
8巻は2年生南雲雅の登場・実力をみせるアバン的な立ち位置でした。男ばかりでむさくるしい話、綾小路が傍観者で退屈でした。
Amazonの評価・コメントを見る限り綾小路×軽井沢のカップリングを求めている声が多そうです。(7.5巻の評価が星5を見る限り)綾小路の影での暗躍、そしてラブ要素が需要ありそうです。私的には綾小路×龍園という組み合わせも楽しみにしています。今回は出番がなかったので残念。
よう実で気になる点と言えばクラス対抗しているのにクラス混合で戦わせていること。これだと意味がない気がします。この点について別の記事で詳しく考察してみたいと思っています。